今回から新規上場企業について、上場時の資本構成から当該事業の特徴や資本政策の考え方について分析、考察していこうと思います。また敢えて、過去の情報や売上等の数値情報を見ずに資本構成のみでどこまで会社の状況を把握することができるかをチャレンジしていきたいと思います。
第1回としまして、2022年12月23日にグロース上場された株式会社GENOVA(以後、GENOVAという)を取り上げます。
こちらは公認会計士の方がⅠの部作成の責任者ということもあり、公認会計士によるIPO準備支援を行っている我々としても学びがあると考え、取り上げさせていただきました。 それでは早速見ていきましょう。
事業の概要
まずは会社の事業の概要です。
GENOVAは、利用者(患者)にとって分かりやすく情報の信頼性が高いwebメディアを運営するメディカルプラットフォーム事業と、医療機関現場における診療行為以外の利便性向上や効率化につながるサービスの開発及び提供を行うスマートクリニック事業の2つで構成されています。
資本構成
次に上場時の資本構成です。下記に株主の状況について表形式でまとめました。

上記株主構成から以下の特徴があると言えます。
1.代表が株式の過半数を持っている。これは迅速な意思決定が可能となっているため、経営環境や事業環境にも迅速に対応することができ、高い成長率が求められるグロース上場企業としては意思決定の速さは重要な要素であると言えます。
2.ファンドの持ち分が10%未満となっている。上場時の株主構成だけで見ると事業展開のなかで一時は投資資金を必要としたものの、多くの投資は自己資金や利益によって事業成長されたと想定されます。
3.従業員持株会が10%超の株式を保有している。上場前に従業員持株会がある企業は少ないです。多くの企業はSOを活用し、上場前の株主数を抑えています。GENOVAではファンドからの資金調達が多くないので、持株会制度を活用した可能性があります。
4.SO発行割合が5.5%。グロース上場企業の平均は8%超あることから、SO発行は少ないと言えます。こちらは持株会制度と併せて従業員に対しての資本政策を行っていた可能性があります。
以上から、GENOVAは医療関連のビジネス展開をされているため、利益が出せるビジネスモデルだったと想定されます。実際にⅠの部を見ても上場の4期前から利益が出ており、その後上場まで株式による資金調達は実施されていませんでした。
そのため株式による資金調達は最小限に抑え、代表の持分割合を過半数維持し、機動的な経営を行いながら、持株会とSOを活用した従業員へのインセンティブ設計をしていたと考えられます。
このように資本政策と事業や組織は相互に密接に関連しているため、資本構成から学ぶべることも多くあることが分かりました。 今後さらに他社の資本構成を見ていくことで、会社間比較もできるようになり、業種やビジネスモデルごとに参考となるような資本政策を見つけていきたいと思います。
以 上
