新規上場企業分析 ~資本政策を読む~ : カバー株式会社

上場時の資本構成から当該事業の特徴や資本政策の考え方について分析、考察の第3回目となります。今回はVTuber事業を行っているカバー株式会社(以後、カバー社という)について見ていきます。

これまで同様、過去の情報や売上等の数値情報を見ずに資本構成のみでどこまで会社の状況を把握することができるか分析していきたいと思います。

事業の概要

カバー社は、2016年6月創業、2023年3月27日にグロース上場されています。

事業内容は、VTuberを使った配信/コンテンツサービスとライブ/イベントサービス、マーチャンダイジングサービス、ライセンス/タイアップサービスを展開されています。 個人的にカバー社のビジネスモデルのうち、自社でIPを開発しているという点が競争力の源泉だと感じています。自社で開発したIPによって、露出を行いファンを増やして、ファンからの支援を収益化するという、エンタメ業界においては理想的なビジネス展開を行っています。

 

資本構成

次に上場時の資本構成です。下記にⅠの部の「株主の状況」について表形式でまとめました。

上記株主構成から以下の特徴があると言えます。 

1.役員陣による持ち株比率が顕在株ベースで過半数を保有 
カバー社ではVCへかなりの割合の株を発行しています。これは大きな投資金額を必要としていたからと考えられます。
カバー社のビジネスから考えるとIPの作成や作成したIPのマーケティングへ調達した資金を使ったのではと考えられます。
一方でスピーディな意思決定を担保するために、経営陣の持ち株比率については過半数をキープできるように調整していたと考えられます。

2.業務連携目的での株式発行 
VC以外の外部株主にはカバー社のVTuberが配信されているプラットフォーム等事業に関連する企業の関係者が存在します。 これは、業務連携を目的とした株式の活用と考えられ、業績から見ても大きな効果が生まれていると考えられます。

3.信託型ストック・オプションの活用 
カバー社は信託ストック・オプションを発行しています。
また発行価格を抑える目的、もしくはストック・オプション付与者へのインセンティブとして株価条件を設定しています。
直近信託型ストック・オプションについての税制取り扱いが明示され、給与課税として累進課税が適用されることとなったため、ストック・オプション付与者における金銭的なメリットが減少することとなったが、インセンティブとしては複雑な設計を行うこともできるため、引き続き利用する企業が現れるものと考えられます。


以上から、カバー社はVCから資金を調達しながら、業務連携に株式を積極的に活用して事業成長してきたと考えられます。 結果、カバー社は上場時に400億円台と大型IPOと言われていましたが、2023年11月時点では1,600億円超と大きな成長を遂げおり、資本政策から見ても大成功している企業ではないでしょうか。

事業成長を考えるうえで、資本政策を有効活用することは事業をドライブさせる要因となるため。自社に合った資本政策を策定が重要となります。 場合によっては、外部の専門家に資本政策の策定支援を依頼することも有効かもしれません。

 今後も他のビジネスモデルにおける資本政策について考察していきたいと思います。 

以 上

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