新規上場企業分析 ~資本政策を読む~ : 株式会社AVILEN

上場時の資本構成から当該事業の特徴や資本政策の考え方について分析、考察する「新規上場企業分析 ~資本政策を読む~」の第17回目となります。 

今回は、「最新のテクノロジーを、多くの人へ」というビジョンのもと、生成AIをはじめとする独自開発した技術コアモジュール「AVILEN AI」を活用したAIソフトウエアの開発、実装、AIドリブンなビルドアップコンテンツを通して企業のAI実装推進を一気通貫で支援するAIソリューション事業を展開し、2023年9月27日にグロース市場へ上場した株式会社AVILEN(以後、AVILEN社という)について見ていきます。 

新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)をもとに上場までの資本政策を読み解き、会社の特徴を分析していきたいと思います。  

事業の概要

AVILEN社は、2018年8月に創業し、その後2020年12月にジャフコグループが AVILEN社の発行済株式のうち85%を取得しています。これはAVILEN社が上場を達成するための手段としてジャフコグループに入っており、その後2年9ケ月で上場を達成しております。このような上場を達成するための手段としてM&Aを活用した珍しいコーポレートアクションを取られている会社です。ジャフコグループ入りを決断された背景については下記記事をご覧ください。 
https://www.nihon-ma.co.jp/page/interview/avilen/

AVILEN社は単一セグメントとして「AIソフトウエアユニット」、「ビルドアップユニット」という2つのサービスを提供しています。 「 AIソフトウエアユニット」では、「AVILEN AI」を活用し、ビジネスプロセスへのAI実装・データ利活用を支援し、「ビルドアップユニット」では、AI人材の育成による組織開発を支援しています。  

資本構成

次に上場時の資本構成です。下記にⅠの部の「株主の状況」について表形式でまとめました。 

上記株主構成とⅠの部の「株式等の状況」から以下の特徴があると言えます。 

1.役員の持ち株比率が顕在株ベースで5.1%

代表取締役社長と取締役、監査役での持ち分が5.1%とこれまで本連載で見てきた企業のなかではかなり低い持ち分となっています。 これはAVILEN社が2020年12月にジャフコグループ入りしていることが主要因となっています。そのため会社の意思決定についてはジャフコが深く関与していたことが想定されます。 事実、2022年3月及び2023年6月に複数社との資本業務提携を結んでいますが、いずれもジャフコが保有する株式を資本業務提携先へ譲渡しています。 

2.VC及び事業会社の持ち分比率が85%  

AVILEN社は2020年12月にジャフコグループに株式の85%を譲渡しています。その後ジャフコグループは自社が保有するAVILEN社株式を活用し、複数の事業会社とAVILEN社の資本業務提携を進め売上の安定化を図っています。 その結果、ジャフコグループを含む資本業務提携先によって、AVILEN社の発行済み株式総数の85%が保有されています。 

3.外部から株式による資金調達を実施していない 

AVILEN社は創業以来、新株発行をしていないため、エクイティによる資金調達を実施していません。 これは、AVILEN社の業績が2020年12月期の変則決算による赤字を除けば創業以来黒字決算となっていることからも大型の投資資金が不要なビジネスモデルであることが読み取れます。 

以上から、AVILEN社は創業以来安定した業績を上げながら、ジャフコグループ入りし、資本業務提携を活用して短期間での上場を達成することができたと考えられます。 

資本政策は事業活動における様々な選択肢を考慮しながら、作成することになります。 柔軟性のある資本政策を作成することで、意思決定の幅を広げることが可能となります。 そのため、外部の専門家に資本政策の策定支援を依頼することも有効かもしれません。 

以 上

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