上場時の資本構成から当該事業の特徴や資本政策の考え方について分析、考察の第12回目となります。今回は前身である株式会社豆蔵ホールディングスがMBOにより東証1部上場を廃止し、再編後に再上場となった株式会社豆蔵デジタルホールディングス (以後、 豆蔵社という)について見ていきます。
新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)をもとに上場までの資本政策を読み解き、会社の特長を分析していきたいと思います。
事業の概要
豆蔵社は、1999年11月に設立された株式会社理想生活が起源となっており、情報サービス事業と産業機械事業を展開していました。その後、社名を株式会社豆蔵として2004年11月にマザーズ上場、2012年7月には純粋持株会社として株式会社豆蔵ホールディングスと商号を変更して、2013年7月に東京証券取引所市場第一部に市場変更を行っています。
その後、抜本的な構造改革のためMBOを通じて2020年11月豆蔵社を設立、2024年5月にグロース上場の承認を受けています。
事業内容は、クラウドコンサルティング、AIコンサルティング、AIロボティクス・エンジニアリング及びモビリティ・オートメーションの4つのサービスから成り立っています。
資本構成
次に上場時の資本構成です。下記にⅠの部の「株主の状況」について表形式でまとめました。

上記株主構成とⅠの部の「株式等の状況」から以下の特徴があると言えます。
1.事業会社(株式会社豆蔵K2TOPホールディングス )による持ち株比率が顕在株ベースで100%(潜在株ベースで96.7%)
豆蔵社はMBOを経て設立された会社という背景があるため、上場までMBOした会社(代表は前身の会社の創業者)1社のみが株主として存在している状況にあります。そのため経営陣は株主と緊密に連携しながら事業運営していることが株主の状況からも読み取ることができます。
2.役員及び従業員(グループ会社含む)に対してストックオプションを発行している
グロース市場上場を目指す企業は、経営陣が創業者であることが多く、役員及び従業員に生株を保有している方もいます。
しかし豆蔵社は、上記1.に記載したとおり一社のみが株主となっており、役員及び従業員は生株を保有しておらず、インセンティブ目的としてストックオプションのみが発行されています。
3.資本業務提携を実施していない
これまで見てきた企業では事業連携目的で複数の事業会社が株主となっているケースがいくつかありましたが、豆蔵社では、前身から積み上げてきた顧客との強固な関係値があることで株式を活用した事業連携が不要であったことが考えられます。
以上から、豆蔵社はMBOを活用して再上場を達成した事例として、参考となる資本政策になると思います。
資本政策は事業活動における様々な選択肢を考慮しながら、作成することになります。 柔軟性のある資本政策を作成することで、意思決定の幅を広げることが可能となります。 そのため、外部の専門家に資本政策の策定支援を依頼することも有効かもしれません。
今後も他のビジネスモデルにおける資本政策について考察していきたいと思います。
以 上
