上場時の資本構成から当該事業の特徴や資本政策の考え方について分析、考察の第5回目となります。今回はコンサルティング事業を運営している株式会社エスネットワークス(以後、 エスネットワークス社という)について見ていきます。
これまで同様、資本構成を中心に会社の状況を把握していきたいと思います。 過去4社を分析してきましたが、資本構成を中心に必要な情報をⅠの部から抜粋することでより会社の理解が深まることが分かってきたので、資本構成から想定される事項をⅠの部の他の項目も活用し検証していこうと思います。
事業の概要
エスネットワークス社の創業は、1999年10月と20年以上事業運営を行っています。そして2023年12月19日にグロース上場されています。事業内容は、CFO機能の提供を通じたコンサルティング事業を行っております。中でも転換期を迎えている企業への経営支援コンサルティングを主力として事業展開されています。 その他周辺領域をコンサルティング及び投資事業として展開させています。
資本構成
次に上場時の資本構成です。下記にⅠの部の「株主の状況」について表形式でまとめました。

上記株主構成から以下の特徴があると言えます。
1.代表の持ち株比率が8.5%
代表の持ち株比率が8.5%でかつその過半数が潜在株(SO)となっています。これまで検証した企業の代表が保有する平均持ち株比率が31.5%、最も低い持ち株比率の企業でも17.3%となっており、8.5%はかなり低い持ち株比率と言えます。また、経営陣及び従業員分を含めても3分の1に満たないため、重要な意思決定の際には都度株主との調整を行っていると考えられます。 代表の保有株式比率が低い理由としては、現代表が創業社長ではないため、社長就任に合わせて株式が付与されたためと考えられます。
2.外部株主による持ち分が75%超
エスネットワークス社はコンサルティング事業という性質上初期投資がかからず、毎期安定的に利益が出ており、利益剰余金も潤沢であることから、資金調達ニーズは低いと推察されます。そのため、この外部株主による持ち分比率の高さは、事業連携の一環で、資本業務提携による株式発行を活用してきたと考えられます。 また個人投資家枠でもかなりの割合の持ち株を持っていますが、ここには退職した従業員も含まれていると考えられます。
3.従業員持ち株会の活用
上場前に従業員持株会がある企業は少ないですが、業歴の長い会社では導入している事例が散見されます。エスネットワークス社はCFO領域でのコンサルティング事業を提供していることもあり、SOと従業員持ち株会を活用した資本政策を実施しています。
以上から、エスネットワークスス社は外部株主による持ち分が大きくなっていますが、資本業務連携を有効に活用し、業績を伸ばして上場を達成したと考えられます。
資本政策は事業活動における様々な選択肢を考慮しながら、作成することになります。柔軟性のある資本政策を作成することで、意思決定の幅を広げることが可能となります。そのため、外部の専門家に資本政策の策定支援を依頼することも有効かもしれません。
今後も他のビジネスモデルにおける資本政策について考察していきたいと思います。
以 上
